21世紀はあっさりやってきた。2000年問題が世間をざわつかせもしたが、幸い大事は起きないまま2000年が到来し、2001年を迎えることになった。21世紀は未来の象徴として長らく語られてきたが、到来してみればそれは昨日と地続きの"今日"だった。 イラスト:jimao ▼子どもの中にある、未来という思想 2001年に公開された『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』は劇場版第10作。『映画クレヨンしんちゃん』の多くは、少々奇妙な悪役や悪のの組織が登場し、野原一家がの陰謀に巻き込まれるという趣向で展開する。『オトナ帝国』にも「イエスタデイ・ワンスモア」という組織が登場する。 イエスタデイ・ワンスモアは、ようやく訪れた21世紀がかつて夢見られた21世紀ではないことを憂い、大人たちを懐かしい時代(主に昭和30年~40年代)の虜にしてしまおうという組織だ。この作戦の一環として