この街はいつからイタリアになったのか。 映画にまったく興味のない人が見たらそう思うのではというくらい、L.A.は今、「ROMA/ローマ」の広告にあふれかえっている。サンセット通りには数ブロックの距離に3つも大きな看板が出ているし、バス停の広告スペースも占領。新聞を開いても、コンピュータを立ち上げても、テレビをつけても、この名前だ。このタイトルを見ずに1日を過ごすことは不可能と言っていい。 この“ローマ”は、もちろん、イタリアのローマではなくメキシコシティのローマ。それも、70年代のローマだ。言語はスペイン語で字幕付き、映像はモノクロ、主演女優は素人という、三重苦を背負っているとも言えるこの映画は、今、オスカー作品賞に最も近いところにいる。アワードエキスパートの予想が上がるサイトGoldderby.comでは、現在、21人中19人が、作品賞に輝くのは今作だと予測。オスカーと同じ投票形式をもつ