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ブックマーク / hiko1985.hatenablog.com (5)

  • 芝山努『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』 - 青春ゾンビ

    『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(1994)という映画がある。決して出来のいい作品ではない。1980~90年代におけるドラえもん映画の黄金期と照らし合わせてみると、そのストーリーテリングには雲泥の差があると言っていい。おそらく今後もリメイクの対象になることはないだろう。原作者である藤子・F・不二雄も「失敗作」とはっきりと語っているほどで、作品は構成力に欠け、物語の細部の繋がりは曖昧だ。しかし、その不明瞭さが故、今でもカルト的人気を呼び続けてもいる作品でもある。個人的にも妙に心惹かれるものがあって、折に触れて観返している。 現実の世界は、どうしてこんなにつらくきびしいのだろう・・・。 こんな、あまりにもブルージーなのび太の嘆きから物語は始まる。寝坊や遅刻でママや先生に怒鳴られ、ジャイアンとスネ夫にバカにされる。大好きなしずかちゃんにすら冷たくあしらわれてしまう。夢の中では完璧な自分、しかし

    芝山努『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』 - 青春ゾンビ
    s_atom11
    s_atom11 2018/03/29
    夢と現実の境界が曖昧なところってVR技術が発展すればするほど響いてきそう
  • デミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』 - 青春ゾンビ

    映画館でスクリーンの前に立って客席を見渡すミア(エマ・ストーン)のモラル(ひいてはチャゼルの映画愛)を責めたてるのは簡単なわけだけども、それよりも映画の光を文字通り身体に浴びたミアが、上映が中断された『理由なき反抗』のシーンを引き継ぎ、天文台に登っていくという演出のひらめきを支持したい気持ちが強い。ミュージカル映画、もしくはアメリカ映画の復興と未来を俺が引き受ける、というのを最高にロマンチックにやってのけたチャゼルの映画愛は当然ほんものだ。 期待値が上がりきってしまっていた分、その稚拙なあらすじ運びには驚いてしまったのも事実(ミュージカルシーンも、もっと良くてもいいはず、と思う)。しかし、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの組み合わせがとびきり好きだからか何なのか、とにかく今作の肩を持ちたい気持ちに駆られてしまう。物語は確かに整合さに欠く。しかし、そういった”律”からの解放が故に、この映

    デミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』 - 青春ゾンビ
  • 岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 - 青春ゾンビ

    岩井俊二の新作に夢中になる日が再び来ようとは。『花とアリス殺人事件』(2015)、そしてこのたび公開された『リップヴァンウィンクルの花嫁』の2によって、そのキャリアは再び黄金期を迎えているようにすら感じる。故・篠田昇の弟子である神戸千木のカメラとの相性もバッチリ、映像や音楽の美しさは健在であるし、そしてやはり語り手としての個性は唯一無二だ。そのオリジナリティ溢れる境地に唸らされてしまう。 呆れるほどに面白い。現実と夢、光と闇、善と悪、喜びと悲しみ、といった二律の境界線上をフラフラと歩きながら、出発点からは想像だにしない場所に着地させる。それでいて、物語全体を破綻させない巧みな脚術。コントロールし切れない部分(例えば唐突な赤いアルファロメオでの疾走)が魅せる発想の自由さも実に映画的だ。主要キャストである、黒木華、Cocco、綾野剛の3人の素晴らしさは、今作をキャリアハイと推したいくらい。

    岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』 - 青春ゾンビ
    s_atom11
    s_atom11 2017/02/13
    "「ひとたび眠りにつこうものなら世界が一変する」という今作のルール"
  • 野木亜紀子『逃げるは恥だが役に立つ』最終話 - 青春ゾンビ

    みくりさんは自分の事を”普通じゃない”と言うが 今更です とっくに知ってました たいしたことじゃありません 僕達は最初から普通じゃなかった という平匡(星野源)の台詞にもあるが、このドラマの登場人物はみな一様に、世間一般で言うところの”普通”に該当しない。故に「普通ならばこうあるべき」というレッテル貼りに苦しみ、傷つけれてきた。男らしくあるべき、いい歳なんだから結婚しなさい、女は子どもを産まなくてはならない、女は若いほうが優れている、愛の対象は異性に向けられるのが普通etc・・・こういった数々のレッテルをユリちゃん(石田ゆり子)は”呪い”と名付け、 そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい と、テレビの前の視聴者に向けて語りかける。このドラマにおける最も感動的なシーンの1つだろう。しかし、”呪縛”という言葉がある通り、逃げても逃げても、へばり付いて離れない呪いというのは往々にして

    野木亜紀子『逃げるは恥だが役に立つ』最終話 - 青春ゾンビ
    s_atom11
    s_atom11 2016/12/21
    あのジュウシマツにそんな演出が隠されてたなんて
  • 西谷弘『真夏の方程式』 - 青春ゾンビ

    東野圭吾原作の人気小説の映像化。2度に渡るドラマ化の大ヒットに続いて、映画も二作目が登場。同じく西谷弘が監督を務めた1作目『容疑者Xの献身』も良作でありましたが、それを遥かに凌ぐ傑作です。昨年の『任侠ヘルパー』 任侠ヘルパー スタンダード・エディション【DVD】 出版社/メーカー: 東宝発売日: 2013/06/21メディア: DVD クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見るに続いて、テレビ局資で傑作をモノにしている西谷弘を、もはや誰も無視できまい。 音響がいい。サラウンドな音響や福山雅治の低音を見事にいかした録音には惚れ惚れ。そして、画面のレベルがとてつもなく高い。開始5分ほどで瞳が喜びの声をあげた。黒沢清の新作の数倍の感動をもらった。カメラがこれまでタッグを組んできた山英夫から、その師匠的存在である北野武作品でお馴染の柳島克己にタッチ。タイトルバッグからして痺れるかっ

    西谷弘『真夏の方程式』 - 青春ゾンビ
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