陽介 @052ysk アウラとフリーレン、双方の魔力を秤にかけた服従の天秤《アゼリューゼ》は、果たしてフリーレンへと傾いた。 勝利を確信し敵に背を向けたフリーレンは薄氷の刃の如き声でアウラへ命ずる。 「アウラ、落語家になれ———」 敗北の色に染まる頭が言葉の意味を理解するより早く、アウラの体は戦場から駆け出していた。極東の島国を目指して。 いくつもの船を乗り継ぎ辿り着いたこの国で、土地勘もツテも無いはずのアウラは何かに導かれるまま(あるいはこれもアゼリューゼの力だったのかもしれない)とある落語家の門を叩く。 泣き落とし。癇癪。時には掴みかかるなどしながら七転八倒三日三晩。テコでも動かぬ座り込みの果て、ついに入門を許可される。 これで落語家になれた。やっと解放される。フリーレン許すまじ。様々な感情が湧き上がるも体が言う事をきかない。 ああそうか、自分はまだ入門したに過ぎず落語家になった訳では