軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、東京地検が2021年7月、警視庁公安部に起訴取り消しの方針を伝えた際のやり取りを記録した警察の内部文書を毎日新聞が入手した。地検は、公安部が法令解釈を「意図的に、立件方向にねじ曲げた」と裁判官に捉えられるリスクがあると指摘し、公判を維持できないと通告していた。 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償訴訟を東京地裁に起こし、捜査に携わった現職の警視庁警部補が23年6月の証人尋問で、事件を「捏造(ねつぞう)」と証言する極めて異例の事態となっている。文書からは、地検が公安部の捜査を恣意(しい)的と疑って起訴判断を見直したことがうかがえる。
※差別の現状をお伝えするために、差別文言を記載している箇所がありますのでご注意ください。 ◇ ◇ ◇ 「しっかりその内容を受け止めて、今後の政治活動の参考にしてもらいたい」 なんとも悠長な発言だ。杉田水脈議員の過去の書き込みが札幌法務局によって人権侵犯と認定されたことについての、自民党・安倍派、塩谷立座長のコメントだ。「今後も」ということはつまり、杉田氏は問題なく自民党議員として「続投」ということだ。 事の経緯はこうだ。2016年に開催された国連女性差別撤廃委員会の後、杉田氏は自身のブログなどに、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などと投稿していた。 投稿について、会議に参加していたアイヌの女性が、今年3月、札幌法務局に人権救済を求める申し立てを行った。9月7日付で札幌法務局は、「人権侵犯の事実があった」と認定し、杉田
黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年を延長した閣議決定(2020年1月)を巡り、関連文書の開示の是非が争われている訴訟で、閣議決定の根拠となった法解釈の変更について当時の法務事務次官が「黒川氏の勤務延長を目的としたものとは認識していない」とする陳述書を大阪地裁に提出した。政権に近い黒川氏を検事総長にするため強引に法解釈を変更したとの見方があるが、これを否定したかたちになる。
「客観性こそ真理」とされる風潮に、落とし穴はないかと疑問を投げかける大阪大大学院教授の村上靖彦さん=大阪府吹田市で2023年7月3日、清水有香撮影 「それってあなたの感想ですよね」「エビデンス(根拠)はあるの?」。今はやりの語り口は、数字やデータに基づく客観性こそ「真理」だと信じる社会の風潮を映し出している。 そこに罠(わな)はないだろうか? 大阪大大学院教授の村上靖彦さん(52)は、新著『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)で「客観性と数値化に対する過剰な信仰」の背景や、それによって生まれる差別を描いた。そして、罠から抜け出すための視点も示す。 本書は6月の発売当日に重版が決まるほど話題に。村上さんは「すごく意外でしたね。まだ誰も読んでいないのに」と戸惑いつつも「エビデンス重視で数を大事にする世界に生きていて、みんな息苦しいのかなと思いました」と語る。 数字と競争への強迫観念 大阪市
福岡地裁で8日にあった同性婚を巡る訴訟の判決言い渡し前、多様性を象徴するレインボーカラー(虹色)の服飾品を傍聴席で着用しないよう地裁が求めていたことが、地裁や訴訟関係者への取材で判明した。地裁によると、上田洋幸裁判長が裁判所法71条(法廷の秩序維持)を根拠に指示した。靴下や腕時計バンドなどが制限された。原告側弁護団などは「見えない部分まで制限し、やり過ぎだ」と疑問を投げかけている。 裁判所法71条は、裁判長が法廷の秩序を維持するために必要な事項を命じ、処置を執ることができるとする。地裁は取材に対し、法廷では、はちまきやゼッケン、たすき、腕章などを着用した場合に入廷を禁止されることがあるとし、今回は「裁判長の指示により、(これに)類するレインボーカラーの装飾品のうち、裁判体(裁判官)や当事者が認識できるようなものの着用は許されていなかった」としている。
弱者の武器であったキャンセルカルチャーが、リベラルな価値の攻撃に使われています。 困難を抱える若い女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」への攻撃など、女性への個人攻撃も起きています。 本来の意味を取り戻すにはどうすればいいか。高千穂大学教授の五野井郁夫さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――もともとの意味はなんでしょうか。 五野井氏 力なき人々にとっての最後の手段としてボイコット運動があります。インド独立運動の英国商品不買や、米国公民権運動ではローザ・パークスの「バス・ボイコット」(※)がありました。 情報発信の主体がユーチューバーのようなインターネット上のサービスに移るなかで、抗議の対象も国家や企業だけではなく、情報を発信する個人や現象、価値観へと変化しつつあります。 キャンセルカルチャーそれ自体は伝統的なボイコット運動の延長線上にあります。 ――ネットの発達
ミドリガメとも呼ばれ、ペットとして広く飼育されている北米原産のミシシッピアカミミガメ。繁殖力が強く、捨てられた個体による生態系への悪影響に、各地が手を焼いている。ダメージの大きさから、6月からは法律で、輸入や販売、野外への放出が禁じられる。厄介者にどう対処するか。各地での対策を追った。 松江市中心部にある松江城の堀に浮かべた小舟の上に、直径70センチ、高さ40センチほどあるドーム型のかごわなが引き上げられた。多い時には1日で70匹ほどのアカミミガメが捕獲される。 作業をするのは遠藤修一さん(75)。アカミミガメの駆除に取り組む市民団体「まつえワニの会」代表を務める。 2021年春までは堀を巡る松江名物の遊覧船で船頭をしていた。船を操って街を案内する中で、岸辺にアカミミガメがずらりと並んで甲羅干しする光景がずっと気になっていた。アカミミガメの影響でイシガメなどの在来種が居場所を失いつつあった
被告が控訴せずに判決確定となり、真菜さんと莉子ちゃんの遺影とともに記者会見する遺族の松永拓也さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2021年9月17日、小川昌宏撮影 暴走した車が、何の罪もない母子の命を奪った。「車の不具合」と無罪を主張する運転手に対し、ネット交流サービス(SNS)では激しいバッシングが巻き起こった。怒りや憎しみ、あるいは正義感に任せたその投稿が、結果的に加害者の刑を軽くしてしまったら、どうだろう。これは、加害者が「上級国民」と批判された池袋暴走事故で実際に起きたことだ。【柿崎誠】 ネットリンチで情状酌量、2年軽く… 「被告人を禁錮5年に処する」。9月2日、東京地裁104号法廷。飯塚幸三被告(90)=呼称は当時=への実刑判決が言い渡された。検察側の求刑は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の上限となる「禁錮7年」で、2年の減軽が認められた形だ。 量刑の理由として挙げられたのは、
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