ああ、田舎である。 僕の佇むこの場所は日本でも有数のステレオタイプな田舎である。 裏日本だとか、「山の陰なんだろ」とか、お荷物県だとか言われているド田舎である。 高齢化率は33%を越え、人間の子供よりイノシシやクマによく遭遇するリアルサファリパークである。 我が故郷は広島産ショッピングモールの劣化版が一つ、九州生まれの激安スーパーマーケットが一つ、ゲオが一つ、駅前に笑笑っぽいのが一つ、以上。 こんなファスト風土のオコボレみたいな奴等により、地域の小売店は軒並み消し飛んだ。 唯一の産業であった漁業と林業は、昭和30年代の乱獲の影響で下火となり、今や補助金で食いつないでいる程度。 山間部の農村地は荒れ放題でところどころ崩れ落ちた廃屋が目につくゴーストロードと化した。 公共事業と地方交付税という点滴で何とか生きている。 そんなことで若者は近隣の都会に集団疎開してしまう。 地元に帰りたくても正規雇