自分は本の虫だった。 本を読みあさり始めたのは中学に入った頃。 と言ってもそのほどんどが 推理小説とSF小説だったんだけどね。 縦長のぺーバーバック、ハヤカワミステリーと創元推理文庫。 それらが部屋の本棚にズラリと並んでいた。 その頃はほとんど一日一冊のペースで、寝る間を惜しんで読みあさっていた。 そんな中で唯一無我夢中になった歴史小説がある。 それが司馬遼太郎の「燃えよ剣」だった。 幕末の新撰組副長、土方歳三を主人公にした歴史小説。 おそらく生まれてはじめて読んだ歴史小説なのに 何度も読み返すくらいに夢中になった。 天然理心流 (武術というよりケンカ剣法に近い田舎剣術) を引っさげて 刀一本で天下の舞台に飛び出していく百姓(主人公)の姿に 心のどこかで惹かれたのかもしれない。 妙な親近感を覚えた。 小説の舞台は1860年代。今から160年前だ。 自分はすでに60年以上も生きたけど、その6