だけど娘がどうしても浴衣を着たいって言うから、妻と三人で近所のレンタルの着物屋さんに行くことにしたんだ。 今度の夏祭り、浴衣姿で出かけたいって娘の気持ちは痛いほどわかるし親として何とかしてやりたいと思ったんだ。 店に着くと、店員さんが「もうほとんど出払ってしまって、今は残りがないんです」と申し訳なさそうに言った。 娘の顔がみるみる曇っていくのがわかって、俺も妻もショックを隠せなかった。 どうしても浴衣が必要だって訳じゃないけど、娘のそのがっかりした顔を見ると胸が痛む。 仕方なく帰ることにした。 家に帰る道中、誰も口を利かなかった。 本当だったら買ってやりたい。 でもうちの経済状況から言えば、それは厳しかった。 貧乏ってやっぱり辛いな。 そう思いながらも何とかして笑顔にしてやりたかった。 家に帰ってから少し落ち着こうとしたその時、電話が鳴った。 なんと、着物屋さんからだったのだ。 「一着だけ
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