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ブックマーク / mrjohnny.hatenadiary.org (8)

  • 吹風日記 - 「ぱふぱふ」はなぜ消えたのか、聞こえない音、エロい日本のドラクエ

    ドラゴンクエストがアメリカに移植されたとき、さまざまな修正が行われました。それをつぶさに調べていくと、ドラクエというゲームに隠れた「日的なもの」の姿が浮かび上がってきます。今日は、我々を包囲する見えない文化について考えます。 だが、コンピュータやインターネットの発達が、全体として人間にどんな影響を与えるかという命題に的確に答えられる人はいないだろう。ファミコンについても、それをずっと続けて育った子供がどうなるか、まだはっきりとわかっていない。 主人公がいろいろな冒険をしたり、戦闘するRPG(ロール・プレイング・ゲーム)はたしかにおもしろい。出はじめたときは私も徹夜でやったものだが、一ついえることは、ゲームの構成そのもののなかに、また場面、場面のやり取りのなかに間違いなく文化的な要素が入っている。そして、それが必ずしも日社会の伝統的倫理観ではないことである。子供は与えられたものを当たり前

    吹風日記 - 「ぱふぱふ」はなぜ消えたのか、聞こえない音、エロい日本のドラクエ
  • バナナはおやつを超越する、境界線上のバナナ、芭蕉の夢・バナナの旅 - 吹風日記

    はたして、バナナは、草なのか?木なのか? 野菜なのか?果物なのか? 主なのか?間なのか? そして、松尾芭蕉は「松尾バナナ」という自分の名前に納得しているのか!? 今日は、バナナという越境する植物について考えます。 芭蕉(ばしょう)野分(のわき)して盥(たらい)に雨を聞く夜かな   松尾芭蕉 俳人・松尾芭蕉、初期の秀作です。字、余りすぎ。 句意は、「芭蕉の葉が台風に揺れる中、たらいに雨漏りが落ちるのを聞く夜だ」という感じでしょうか。時は延宝8年(1680年)。松尾芭蕉が住んでいた江戸深川の草庵には、門人李下(りか)から贈られた芭蕉の株が植えてあり、そこから、松尾「芭蕉」という俳号が誕生したのでした。 この「芭蕉」はバショウ科の多年草ですが、これが「バナナ」と同じ仲間であるということはよく知られています。すなわち、やつの名は「松尾バナナ」。すばらしい。 余談ですが、作家のよしもとばななさん

    バナナはおやつを超越する、境界線上のバナナ、芭蕉の夢・バナナの旅 - 吹風日記
  • 名前のない忘れ物、世界にただ一つの名、この「名もなき詩」を - 吹風日記

    ローマ帝国や大英帝国の衰退期には空前の健康ブームが起きたそうですが、まあ関心が内側をむくというのは滅びの予兆でしょうね。例えば、突然ネット論などを語り出すブログは要注意です。今日は、前回のエントリを受けて、ネットと「名前」の関係について考えます。 私がインターネットであれこれと持説を論じたり、私生活について書いたりしているのを不思議に思ってか、「先生、あんなに自分のことをさらけだして、いいんですか?」とたずねた学生さんがいた。 あのね、私のホームページで「私」と言っているのは「ホームページ上の内田樹(たつる)」なの。あれは私がつくった「キャラ」である。あそこで私が「……した」と書いているのは、私が当にしたことの何万分の一かを選択し、配列し直し、さまざまな嘘やほらをまじえてつくった「お話」なのである。「私」はと語っている「私」は私の「多重人格のひとつ」にすぎない。そういう簡単なことが分から

    名前のない忘れ物、世界にただ一つの名、この「名もなき詩」を - 吹風日記
    sack_lunch
    sack_lunch 2006/12/23
    2chとmixiは対極にあるコミュニティだけど、上記のような見方をすると、「名づけられた単一の人格があるはずだ」という固有名詞への信仰の、裏と表に過ぎないのではないか。
  • なんで白鳥があひるよりいいんだよ、働かないアリ、カメになりたい - 吹風日記

    「みにくいあひるの子」や「アリとキリギリス」、「ウサギとカメ」などの物語には、動物のキャラクターに対する強烈な偏見があります。今日は、ある物語を信じたいと思う無意識の願望について考えます。 その日、口にするものに不自由しながら、不自由であったからこそアンデルセンは限りなく美しかった。 人魚姫が海の泡と消える悲しさに私は身をよじるほど無念であった。 無念であったから、私は、人魚姫を忘れることが出来なかった。 あるいは、みにくいあひるの子が、美しい白鳥になる結末に私は大変満足し、満足したから忘れることが出来なかった。 私は素直でよいアンデルセンの受け手であったと思う。 私は、息子にみにくいあひるの子を読んでやった。 息子は言った。 「なんで、白鳥があひるよりいいんだよ」 私は考えもしなかったので答えにつまってしまった。 「あひるに悪いじゃんか」息子は言った。 佐野洋子「あひるの子」より なるほ

    なんで白鳥があひるよりいいんだよ、働かないアリ、カメになりたい - 吹風日記
  • 最近の若者は本当にいたか、とカントは言った、皆が本を書いている - 吹風日記

    何千年も前の遺跡から「最近の若者は……」と書かれた出土品が出てきた、という話をご存じの方は多いと思います。でも、これって当の話なんでしょうか? 今日は、「最近の若者」のルーツを追っかけながら、ネット社会と統一されない自己について考えます。 人の話す言葉のどれが正しいとするかは、なかなかむずかしいことです。それはどこに基準点をおくか、いつの時代、どこの言葉を基準とするかによります。どれが正しいかというところに踏みこむと、保守的な態度の人、新しいことを好む人、いろいろあって、その人の人生や世界に対する考え方が言葉の選択の上に出てきます。今から何千年も昔の楔(くさび)形文字を解読したところ、「このごろの若者の言葉づかいが悪くて困る」とあったそうです。言葉は人間の行為だから、保守的、革新的という相違があるのは当然です。 大野晋『日語練習帳』より 日語ブームの種火となった『日語練習帳』です。

    最近の若者は本当にいたか、とカントは言った、皆が本を書いている - 吹風日記
  • 殿様に御苦労と言っていい、懸念される漱石、自分と違う他者に会え - 吹風日記

    今日も今日とて、「日語の乱れが懸念されて」います。目上に向かっての「御苦労様」、「一番最後」などの重複表現。これらはそんなに糾弾されるべき言い方なのでしょうか? 今日は、知ることは他者との出会いである、ということについて考えます。 おとぎ話の世界には、あらゆる事が起こった。恋があり、野心があり、裏切りがあり、決定的な出会いと決定的な別離があった。しかし渋谷美竹町の家と平河町の中学校との間を、毎日市電で往復していた私の現実の世界には、全く何事も起こらなかった。私は誰にも出会わなかったから、情熱的な恋に身を任せるはずもなかったし、従ってまた別れの辛さを味わうはずもなかった。中国大陸にはいくさがはじまっていたが、それは私の身辺には及ばず、革命は遠い神話にすぎなかった。私はただ中学校しか知らず、その中学校と私自身にうんざりしていた。 加藤周一『羊の歌』より 上記の引用文は、作家・評論家である加藤

    殿様に御苦労と言っていい、懸念される漱石、自分と違う他者に会え - 吹風日記
  • 時効は必要なのか、残り4.2%の罪、消えないんだよ - 吹風日記

    には殺人事件の時効があります。実は、日の警察の驚異的な殺人事件検挙率は、時効という制度に支えられているのかもしれません。だとしても、当に時効はあったほうがいいのでしょうか? 今日は、時効という制度について考えます。 学生時代に末広厳太郎(いずたろう)先生から民法の講義をきいたとき「時効」という制度について次のように説明されたのを覚えています。金を借りて催促されないのをいいことにして、ネコババをきめこむ不心得者が得をして、気の弱い善人の貸し手が結局損をするという結果になるのはずいぶん非人情な話のように思われるけれども、この規定の根拠には、権利の上に長くねむっている者は民法の保護に値しないという趣旨も含まれている、というお話だったのです。この説明に私はなるほどと思うと同時「権利の上にねむる者」という言葉が妙に強く印象に残りました。いま考えてみると、請求する行為によって時効を中断しない限

    時効は必要なのか、残り4.2%の罪、消えないんだよ - 吹風日記
  • 吹風日記 - 明日どうやって死ぬか、死にたくなければ表出ろ、死ぬ理由はいらない

    平均的日人が、病気以外で明日死ぬとしたら、どのような死に方の可能性が高いか? これ、かなり意外な結果になります。なぜ我々の死についての思考パターンはこんなに狂ってるんでしょうか。今日は、死ぬのに理由なんてないほうがいいよね、ということについて考えます。 竜夫は家に帰ると井戸水を腹一杯飲んだ。そして押し入れの中に潜り込んだ。なぜそうしているか、自分でも判らなかった。襖を閉ざして、狭い押し入れの中に身を屈め、隙間からこぼれてくる光を睨んでいた。 おとなになっても、ほんとの友だちでおるちゃ。 関根の声が暗闇の中から聞こえてくるような気がした。自分も一緒に釣りに行っていれば、関根は死ななかったろうかと思った。体を左右にくねらせながら、古びた自転車を懸命にこいで道の向こうに消えていった関根のうしろ姿が竜夫の胸に浮かび上がってきた。竜夫は自分以外には誰もいない家の押し入れに身を隠していつまでも座り込

    吹風日記 - 明日どうやって死ぬか、死にたくなければ表出ろ、死ぬ理由はいらない
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