ファルスでは暴力が支配するドタバタの笑いが優位にあり、その登場人物は現実社会と結びついた具体的な身体を持っている。これに対して、ソティ(阿呆劇)の登場人物は、もっとあいまいで抽象的な存在である。 阿呆sot(ソ)は伝統のなかで形成された類型的役柄である。ソティの阿呆は、狂人と道化の二つの意味を持つfou(フ)とつながりを持つ。狂人および道化は一般社会からは追放された、時に煩わしく、時に滑稽な存在であるが、神の刻印を授けられた聖なる神秘的存在であるとも見なされていた。「狂人、道化」を意味するfouは、ソティのなかで阿呆sot(ソ)という演劇的類型となった(ソティの阿呆sotは作品によってはfouと呼ばれることもある)。演劇的道化である阿呆は、それゆえあらゆる社会的所属から切り離されており、あらゆるタブーから解放されている。 ソティには複数の阿呆が登場することがあるが、個々の阿呆には個別的性格