万引き家族を見てきた。 カンヌのパルムドールを受賞するのも納得の完成度で、芸術性、メッセージ性、エンタメ性を兼ね備えた邦画史上に残る作品なのは間違いない。 リリー・フランキーだしどうせお涙頂戴の感動ポルノだろうなんていう懸念は見事に粉砕された。 テーマは家族の絆の相対化と解体と再構築という、小津安二郎の東京物語に通じるものであり、舞台を戦後間もない時期から平成の終わりの今に移すとこうなるという感じだった。(ちなみに、山田洋次監督が東京物語をリメイクした東京家族という映画があるが、あれは小津安二郎がせっかく相対化した「家族」を再び戦前の古い価値観に巻き戻してリメイクするという糞以外の何物でもなかった。) ただ、東京物語では血のつながらない人たちが自然につながっていたのに対して、本作は血のつながらない人たちが一緒に暮らしていくことがいかに困難かを描写しており、現代日本の息苦しさを批判していると