ロシアによる軍事侵攻から2カ月以上たち、ウクライナの農業は大きな打撃を受けている。今年の生産予想は戦争の行方によって大きく振れるが、現時点で穀物や油糧作物の生産量は前年の4割減という見方が出ている。占領地域の存在や畑に残る地雷、物流の混乱などが立ちふさがる。 大豆や野菜などの作付けが難しくなっている他、これから収穫する冬小麦の畑にまかれた地雷が農作業を難しくしている。政府などによると、今年の穀類生産量は6300万トン、前年の1億トンを大きく下回る見通しだ。マリウポリなど黒海沿岸地域で激しい戦闘が続き、海上輸送を主力とする輸出は、引き続き大きく制限されそうだ。 余り注目されていないが、ウクライナの有機農業が痛めつけられている。ウクライナの有機農業生産は2020年に46万2200ヘクタールで行われていた。最大の産地は南部のヘルソン地域で8万2000ヘクタール、東部のザポリージャ地域の4万500