「俺たちも何だかわからなかった」 早速、もっとも気になっていた「謎」をぶつけてみた。 「OSOが7頭もの牛を襲いながら、1頭も食わなかったことがありますよね。あれは牛を傷つけて、ハンティングを愉しんでいるからだ、というのは本当ですか?」 すると藤本は「確かに最初、そこは大きな謎だった」と応じた。 「食うために襲うんだったら、よくわかるんだ。でも食ってない。その話だけ聞いたときは、俺たちも何だかわからなかった。『このクマ、どっかおかしいんじゃねえのか?』とも思ったけど、実際に現地に行って現場をしっかり確認することによって、いろんなことがわかった。その謎も解けた。結論からいうと、愉しみのために襲ってたわけじゃない」 この「謎解き」については後述するが、まずはその前提として藤本らがOSO対策に関わるようになった経緯を簡単に説明しておく必要があるだろう。 「部外者」から「特別対策班」へ というのも