Photo by sisssouBy: sisssou 「はい、では、大手広告代理店に入れるなら入りたいと思っている人、手を挙げてみてください」 『一回生から始める就活セミナー』の講師はそう言って、50人はいるであろう学生たちを見渡した。こんな機会でも積極的である姿勢を見せたほうがいいかもしれないと思っていた賢治は、前から三番目の席に座っていた。 ――― 大手広告代理店!クリエイティブな仕事で、高給で、社名を言う度に、誇りで満たされるに違いない。 一瞬考えてからであったが、賢治はさっと手を挙げた。 ―― ほかの人は? 賢治は肩越しに後ろを見た。ひとり、またひとりと手を挙げ、やがて三分のニぐらいの手が挙がった。 「はい、ありがとう。やっぱり、人気ですね。では、まったく別の質問をします」 講師はにこやかに微笑みながら、こう訊ねた。 「原発については、どうでしょう。反対の人。まず、即時に、すべて
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