だって、「肉じゃが」だ。あまりにも普通のメニューだ。その地方で名物だからといって、感動するほどおいしいとは、思っていなかった。 砂糖のシンプルな甘さ、醤油の力強さ。煮過ぎていないタマネギ。 澄んだ味だなあ、と思った。 「こっちのカレーも、おいしいよ。さっぱりしながらも、スープがうまい」 「本当だ。このオムライスもおいしい。妙においしい。なんじゃこりゃ」 同行してくれたTと、あれこれ食べてみていた。 「どれもおいしい。なんでだろ、何が違うんだろ」 「私らが旅テンション…だからかなあ?」 「いや、そんなことないよ、昨日食べた居酒屋とか、アレだったじゃない」 「ああ、まあ、そうね…」 私たちは前日、おいしくない観光居酒屋でボラれ、ちょっと落ち込んでいた。ちなみに2品頼んで、20分滞在して、5000円弱だった。いい勉強だった。 「しかし、このおいしい肉じゃがが、100円て、何だあ…?」 ■肉じゃが