生後二十日前後の子猫が家に迷い込んで来た。 親猫の姿を探すが見つからず、どうしたものかと頭を悩ませた。 一日目は親猫が迎えにくるかもしれないと思い様子を見ることに。二日目は、しかたがないので子猫用のミルクを与えた。 この時点でまずいような気がしたが、気づかないふりをした。 それから、子猫が居座って三日が経ち私たち家族は完敗した。 家へ迎え入れ、身体を綺麗にし、温かい寝床を用意しながら、「早く飼い主を見つけよう」と家族で躍起になった。 忘れていたのだ。 私たちは子猫に「完敗」したことを。 今では、「りゅうのすけ」という名で呼ばれ家でやりたい放題暴れている。 「りゅー」 そう呼ぶと姿が見えなかったりゅうのすけがひょっこりと姿を現す。 「どこに隠れてたの」 りゅうのすけは、「にゃー」と鳴く。 返事をしたのではない。 餌が欲しくて鳴いたのだ。 笑ってしまう。 気がついたら「家族」になっていた。
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