近年SNSを中心に映画制作にまつわるセクハラやパワハラ被害を訴える声が上がっている。今後の改善を考えるためには、映画づくりは産業であり、さまざまな訴えは労働問題であるという視点が必要だ。商業映画の制作スタッフとして働いている女性や、制作現場の適正化に取り組む人たちに話を聞いた。(取材・文:長瀬千雅/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 「業界に入ったときから(労働環境が)ひどいなと思いながら、ずっとやってきているんです。それでも続けているのは、楽しいからですね。別に天職だと思っているわけではないし、もともとそんなに映画を見るほうでもありませんでした。性分に合う仕事だったというだけなんです」 佐藤一子さん(仮名、30代)は、大学生のときに知人の誘いで映画制作現場でアルバイトを始めた。以来10年以上、商業映画を中心に制作の仕事をしている。映画制作の現場は職能により演出部、撮影部、俳優