【ハノイ=高野弦】ベトナム国会は19日、日本の新幹線方式による高速鉄道への投資計画を否決した。賛成票が過半数に及ばず、結論を次期国会に先送りする。巨額の財政負担を懸念する声が強く、ベトナム政府は計画の練り直しを迫られることになった。 インフラ輸出を成長戦略の柱に位置づける日本政府にとっても、出ばなをくじかれる形になった。 19日の採決は、政府案に対する国会としての「意見書」をとりまとめる形で行われた。政府案では、2035年までにハノイ―ホーチミン市(約1500キロ)間で全線開通。一部の区間を先行して2025年に開通する予定になっていた。 慎重論が根強かったのは、事業費が巨額に及ぶためだ。政府案は、ベトナムの国内総生産(GDP)の半分以上にあたる総額558億ドル(約5兆1千億円)が必要なうえ、このうち約7割を政府の途上国援助(ODA)やアジア開発銀行などからの借り入れでまかなう計画だっ