今夏、衝撃の話題が読書界を駆け抜けた。 「森見登美彦の新作の題名は『四畳半タイムマシン・ブルース』らしいぞ!」。 森見作品は、未だ4作しか読んでいなかったが、その作品たるや、才弁縦横、軽妙洒脱、機知奇策、因循姑息、満漢全席たるものばかり。しかもリスペクト作品として使われた「サマータイムマシン・ブルース」(2005)は、上野樹里を初めて発見した記念すべき傑作映画である。読まねばなるまい。 しかしその為には、続編の元となる作品には手をつけておかねばならない。幸い舞台になった京都下鴨界隈は、昨年春に歩き通した所なので土地勘がある。さらに言えば、大学受験は兄の洞穴のような左京区の下宿を基地として2週間大学を受けたせいで、その間ずっと寺巡りはするわ、名画座の京一会館で初めてピンク映画を観るわで、憧れの京都の大学生になりそこね、西の京都に都落ちする結果になったのだからなおさら土地勘はある。‥‥それは良