『「逃げ恥」のシナリオ作家は主婦論争の都留重人論文を読んだのだろうか?「私が自分の女中(原文のママ)と結婚したとする。私が女中に支払っていた給料を払わなくてよくなる。やっていることは同じなのに、その分だけ、日本のGDPは減る」…これはおかしい、というのが「不払い労働」論だった。』 東京大学の上野千鶴子名誉教授が、Twitterにそう投稿したのはほぼ4年前の2016年12月22日、テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』シリーズ最終話が放送された2日後のことだった。ここでの都留重人論文とは、1959年の婦人公論に掲載された都留重人の「現代主婦論」のこと、現在は『主婦論争を読むI 上野千鶴子編』(勁草書房)に収録されている文章だ。 女性にとって結婚して無償で家事をするのと、家政婦の職業として家事をするのではどうちがうのかについて書かれた文章は、読み返せば確かに1959年に男性の経済学者に書かれ