地上げに観光開発、絵画売買――。闇社会の住人は、あらゆる手で住銀のカネをむしり取ろうとした。なぜ誰も止められなかったのか、そのすべてが明らかになる。 イトマン事件/大阪市にあった繊維商社・伊藤万をめぐって起きた特別背任事件。法外な価格での絵画取引やゴルフ場投資を持ちかけられ、多額の資金が闇社会に流出した。伊藤寿永光、許永中、河村社長は逮捕、有罪判決が下った 「天皇の腹心」の暴走 楡 バブル経済を象徴する経済事件はたくさんありますが、'90年に発覚したイトマン事件が異彩を放っているのは登場人物のキャラクターが際立っているところです。 住友銀行会長で「天皇」と呼ばれた磯田一郎、イトマン社長の河村良彦、暴力団とも接点があったと言われていながらイトマン常務に招聘された伊藤寿永光、在日韓国人のフィクサー・許永中。さながら経済事件のオールスターキャストです。 大塚 確かに多額の借金を抱え最終的に所得隠