I.はじめに この10年間の情報通信分野の急速な技術革新は、新たな産業を創造し、経営・政策・社会的課題に対する新たな解決手段をもたらす一方、既存の事業分野の常識や事業間の垣根を大きく崩し、旧来の技術等を踏まえて歴史的に作り上げられてきた制度の抜本的な再構築を迫っている。特に、デジタル化、IP化、ブロードバンド化等により、技術的には通信と放送は世界的にも融合の速度を速めており、欧米、韓国等のICT先進諸国においては、制度改革への取り組みが加速化している。 また、知価社会における情報通信分野の技術革新は、産業革命に匹敵する変化をもたらすことが想定される。かつてグーテンベルグによる印刷機の発明が宗教改革を惹起し、産業革命が王政の終焉と近代民主主義国家の成立を促したことと同様、情報通信革命はボーダレスに経済・産業構造、国家と国民の関係など政治構造、人々の価値観・規範・文化等の社会構造までにその影響