私は脳内限定の反体制歴史学研究者である。あくまで脳内限定なので、実際に行動したことはない。ただ大学という安全な場では言いたいことが言える。否、体制的な言辞はむしろ変人扱いされるので、反体制を唱えることが一番安全な場だったりするのだ。まあ私はヘタレ、ということ以外のことは示していない。 私はアカデミズムの枠組みの中では一応日本中世史の研究者ということになっている。大学で割り振られる講義科目は一般教養はともかく、専門課程の科目はすべて日本中世史を担当することになっている、という意味である。アイヌ史を講ずることが出来るのは一般教養でしかない。専門科目は一応分担が決まっていて、私がいきなりアイヌ史をやり出すと、他の教員に迷惑がかかるのだ。 私が今まで提出した公刊論文は、その大半が日明・日朝関係史である。アイヌ史は四分の一に過ぎない。当然大学院で研究していたのは日明関係史であった。 修士二回生の時に