2014年3月のある日、ドイツ・ライン川のデュイスブルク河港でのことだ。銅鑼(どら)の音が3度響き渡る中、中国の習近平国家主席が1本の貨物列車の到着を出迎えた。そして習氏はドイツに対し、両国を結ぶ新しいシルクロードを一緒に整備しようと呼びかけた。 これは、習氏のお気に入りの戦略プロジェクトへの参加要請だった。習氏は2013年の国家主席就任以降、中国と欧州をつなぐ新シルクロードのアイデアに外遊先でたびたび言及している。 先月のスリランカ訪問では、15億ドルが投じられる港湾整備プロジェクトの起工式に出席し、「21世紀の海上シルクロード」なる構想を売り込んだ。 習氏がこれほど熱心なのは、中国の内陸部、とりわけ中国西部と欧州との結びつきを強化したいためでもある。額面通りに受け取るなら、これは中国が国際貿易の有力プレーヤーとして台頭してきたここ20年間で最大の貿易ルート再編成に発展し得るプロジェクト