「史上最大のIPO」が突然の延期となった。中国アリババ・グループ傘下のフィンテック企業アント・グループが予定していた上海・香港市場への同時上場が今月3日、中止が発表されたのだ。一体なぜ、このタイミングで? 米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、一般投資家には見づらい、中国企業を取り巻く政治的リスクをリポートする。 ソフトバンクグループ株が冴えない理由 「アントまあー!」「あーりまあ。。。」 ソフトバンクグループ(銘柄コード9984)株の掲示板には、個人投資家のため息まじりのダジャレが飛び出した。 香港と上海で5日に予定されていた「アント・グループ」のIPO(株式初公開)が、3日になって突如延期されたのだ。調達額見込みは4兆円規模で、昨年のサウジアラムコを抜き「史上最大のIPO」となるはずだった。これだけの規模のIPOが、公開予