人気漫画『鬼滅の刃』の勢いが留まるところを知りません。10月2日に発売された単行本22巻までの総部数は1億部を突破し、驚異的な売れ行きが続いています。10月16日公開の映画も大ヒットが予想されていますし、最終巻23巻が発売される年末に向けて人気はますます加速していくことでしょう。 関心の移ろいが激しいエンタメビジネスにおいて、なぜこんなにもヒットしているのでしょうか。さまざまな理由が考えられますが筆者は、「素早くユーザーの心をつかみ、飽きさせない仕組み」が大きな要因だと考えています。 見開きだけで濃密な物語を描くスピード感 たとえば、ラスボス・鬼舞辻無惨と主人公・竈門炭治郎の直接対決が始まる21巻には、鬼殺隊(主人公が属する集団)最強の男・悲鳴嶼行冥が駆けつけ、鬼舞辻に一撃を加えるエピソードがあります。まるごと1話使って描いても十分見応えがある内容です。しかし、なんと、1つの見開き(書物や