予想できない消費者の「非合理な判断」 ここから、生活者の「非合理的な判断」の典型的なケースをいくつかご紹介します。本書で活用する理論については、本章の参考編にてご説明しますが、まずはここで少しだけイメージを持って頂きましょう。 前述のダン・アリエリー教授の名著『予想どおりに不合理』で紹介されている事例が非常にわかりやすいので、そこからいくつか引用し、ケース1~4としてご紹介します。 ケース1:比較対象によって、判断が変わる ある家電商品のメーカーが、今まで世になかった、家電商品を発売しました。当時としては大変斬新な商品であり、期待も大きかったのですが、それとは裏腹に売れ行きは鈍いものでした。 そこで同社は、ある賭けに出ました。それは、その商品よりも50%以上高価な高級版の製品を投入するということでした。元々売れていない商品のさらに高級版を出すという判断は、マーケティング戦略の常識では発想し