西森博之の新連載『お茶にごす。』が面白いという話。 単純に代表作『今日から俺は!』の逆バージョンとして原点回帰を感じる作品なんだけれども、そこに前作『道士郎でござる』で描ききれなかった、というか構造的に描けなくなってしまった「限界以降の正義」について描けそうなこのマンガに、私は期待している。 正義には限界がある。戦争マニアが「君の神様と私の神様、正気なのはどっち?」と訊くまでもなく、正義なんて恣意的なものだ。それに、主人公がただ正義正義と叫ぶマンガなんて昔からなかった(石森手塚を持ち上げるわけじゃないけど、理由もなく正義を持ち出す主人公って誰かいたかしら)。 「正義」という言葉が胡散臭いことは、前提条件だ。 だからといって「正義なんてないさ」とうそぶいてばかりでは、マンガは成り立たない。読者が能動的にマンガを読む以上、死ぬことや破壊すること、捨てること、あきらめることは、テーマにこそなれ、