目が覚めると「へ」の字になっていた。平仮名の「へ」。布団の上、うつ伏せの姿勢で軽く腰が持ち上がった僕は、少し離れて眺めると頭から足の指先まで170センチの「へ」の字に見えたはずだ。目が覚めてしまったのはすっかり完治したと思っていた腰痛のせい。身体を少しでも動かすと、激痛が腰の中心から拡散していく。再発の原因はわかってる。眠る前に「未知の力を目覚めさせてうだつのあがらない生活にサヨウナラ」と思ってキメた水魚のポーズ。あれだ。間違いない。痛みが怖くて動けない。限られた視野のなかで、第一号だけしか買わなかった「週間恐竜サウルス!」オマケの骨格模型の傍らで、テレビから伸びたコードの先のヘッドフォンがカシャカシャと歌っていた。何の音かは識別できなかった。コードの先にあるテレビのなかには何かが映っていた。コンタクトレンズを外し、眼鏡も掛けていない僕には様々な彩りのシルエットがぼんやりと動いているだけだ
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