テレビの中でカラオケを歌う女子アナたちを、箸を持つ手も止まったまま、阿呆みたいな顔で熱心に見つめ続ける中学生の息子を、憎しみのこもった目つきで見つめ続ける妻を見て、私は、家族っていいものだな、と思った。 振り向いて私のそでを引く妻に、あなた、と促されて私は息子に話しかける。 「浩介。お前、今、たっているだろう」 ぎょっとして息子と妻が私を見る。そして息子は試すように私に問う。 「……何が?」 「ちんこ」 「……ったってねえし…………」 「いいや、たっている。父さんには、わかる」 「はは、ははは。わしのはもう、たたんからなあ。浩介は、若いから、ははは、よかった、よかった。じゃあ、飯を食おう。な」 私の父が顔を引きつらせて意味の通らぬ執り成しをする。しかし私は逃がさない。許さない。 「たっている」 「たってねえって……」 息子は顔を真っ赤にして否定する。家族全員の目の前で自分のちんこの話を突然