以前保育園で保母をしていたUさんの話。 ある日、Yちゃんという子供だけがいつもより遅くまで残っていた。 毎日迎えに来ている母親が、その日はまだ来ていなかったのである。 一人だけ帰れずにいるためにYちゃんも心細くなってしまったようで、泣きべそ寸前だった。 遅くなるという連絡は受けていなかったので保母たちも心配していたところに、一本の電話が掛かってきた。 Uさんが出てみるとYちゃんの母親である。しかしなにやら少し語気が荒い。 「あの、今日は保育園はどうかしちゃったんですか?みなさんどちらに?」 「はい?いえ、特に変わったことはありませんよ。Yちゃんもお部屋の中でお母さんを待ってますので」 「だって、私今保育園にいますけど、中に誰もいないじゃないですか!どこ行ったんですか!?」 「え?どこにも行ってないですけど……。何か勘違いされては……」 「そんな勘違いとか……。あれ?……ちょっと」 電話は急