部長は気を使ってくれたのかも知れないけど、楽しいと思える時間はほんの刹那だった。いや、楽しいという気持ちに至る前に、気持ちは冷え込み、帰りたくなった。後は地獄。世の中はクールジャパンとかなんとか言っても、オレと部長の距離は縮まらない。 「そうそう、幽☆遊☆白書の……サングラスと小男の!そう!髑髏兄弟!あのコンビが好きだったなぁ。」 急に幽☆遊☆白書の話を部長が始めた。おそらく戸愚呂兄弟を髑髏兄弟と間違ってる。 「はぁ!?」 オレは、思わず相手が上司であることも忘れて、大学の頃からの友達に向けて放つような素っ頓狂な声を上げてしまった。それを聞いて、部長の眉がピクリと動いたような気がする。もう、帰りたい。 「はぁ……はぁ、は……いや、すみません。大竹部長からマンガの名前が出るとは思わなかったモノで、思わず大きな声を出してしまいました。ま、マンガとかお読みになるんですね。」 「まあ、読んでたって