安倍元首相の銃撃事件は、日本と関係の深い東南アジア地域も震撼させた。安倍政権は東南アジアでの外交を重視したが、その姿勢については評価が分かれるという。安倍外交はどう見られていたのか、同地域のメディアによる報道を紹介する。 中国が東南アジアにもたらしたリスク 安倍晋三元首相は「自由で開かれたインド太平洋地域」という構想を打ち出し、対中国包囲網として日米豪印4ヵ国の枠組み「クアッド」創設を主導した業績で評価される。その一方で彼は、インドと中国の間に位置する東南アジア地域とも関係を強化しようとした。 シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所のデイビッド・アラセ客員研究員は、安倍のインド太平洋の構想は東南アジアの安全保障からスタートしたと、同国のメディア「フルクルム」で述べている。 東南アジアは日本と経済的な結びつきが強く、日本が輸入するエネルギー資源もその近海を通る重要な地域だ。しかし、中