北朝鮮が福田康夫首相辞任表明に“ショック”を受けている。北朝鮮は9日に金正日体制の威信をかけた行事、建国60周年記念日を控えているが、福田政権による対北経済制裁解除を政治的成果に見込んでいた。制裁解除を前提に平壌行きを予定していた朝鮮総連の幹部もいたが、辞任表明で対日関係改善はすべて雲散霧消した形だ。無能力化を中止、核施設の原状復旧作業を開始して対米圧力も強化しており、日朝、米朝関係は一気に冷え込む見込みだ。(久保田るり子) 建国60周年は、年初の3紙共同社説(党機関紙「労働新聞」、人民軍機関紙「朝鮮人民軍」、青年組織機関紙「青年前衛」)で「歴史に刻まれる転換の年」と位置づけられていた。北朝鮮筋によると、転換とは「日朝交渉の進展」と「米国のテロ支援国家指定解除」を指し、日朝交渉で決まった拉致問題再調査との引き換えの日本の制裁解除について北朝鮮側は「祝典の前に日本がわれわれに屈服」と評価する