「日本版ライドシェア」が4月から一部地域で解禁された。背景には、観光地などでのタクシーの運転手不足に加え、地方での鉄道の廃線などによる交通空白地域の拡大があった。一方、そうした議論とは異なる文脈で、地域の高齢者の移動支援で具体的な成果を上げている事例がある。住民の互助による福島市土船地区の取り組みを取材した。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 「タクシーなかなか乗れない」免許なくても安心して移動JR福島駅から西に約4キロ。この日、福島市役所の吾妻支所に、愛犬を連れた住民が相次いで訪れていた。年に1度の狂犬病の予防接種の日。1台の車の後部座席から降りてきたのは、愛犬のテスちゃんを抱えた宍戸尚子さん(74)だ。 「いつもありがとう。助かったわ」 6キロほど離れた自宅から宍戸さんを送ってくれたのは、タクシーではなく、近所の顔なじみの住民だ。 宍戸