■「麻生派」との決別の日 2月25日、昼。自民党の大物、佐藤勉・前総務会長は、エレベーターを降りると、少し約束の時間より早かったのか、顔なじみの記者数人と雑談を交わしていた。その表情には何の迷いも感じられなかった。数分後、同じ派閥の御法川信英・国会対策委員長代理、そして、丹羽秀樹・前文部科学副大臣の2人が到着。佐藤氏ら3人は廊下をゆっくり歩き始めた。3人が携えていたのは派閥の退会届。その向かう先には、自身が所属する麻生派の会長、麻生太郎副総裁が待っている部屋があったのだ。 麻生派は岸田政権を主流派として支えるいわば「勝ち組」の派閥だ。総務大臣や党の総務会長などを歴任した佐藤氏が、なぜ今「勝ち組」を離れ、あえて「茨の道」を歩むことを決めたのか。そこには麻生会長への「遺恨」と、岸田政権の「次」を見据えた動きが関わっている。 ■引き留めることなく「“短い間”ご苦労さまでした」 佐藤氏ら3人が麻生