政府が、出産費用の保険適用について検討を開始した。医師で医療政策学者の津川友介さんは「出産費用が保険適用になると、妊婦の経済的負担が増える可能性があるばかりか、既に減少しつつある分娩可能な産科医療機関がさらに減ってしまい、産科医療の崩壊を招きかねない。少子化対策に逆行し、むしろ少子化を悪化させるリスクの高い政策だ」という――。 現在は出産費用が保険ではカバーされない 現在、日本で出産費用の保険適用に向けた議論が起きている。 「異次元の少子化対策」の一環として、2026年度から出産費用を保険適用すると岸田首相が明言した。しかしながら、出産費用の保険適用は、少子化対策に逆行し、むしろ少子化を悪化させるリスクの高い政策である。それをここで説明しようと思う。 日本の医療保険は、歴史的な背景から「治療」のみをカバーするという制度設計になっている。なので、出産費用だけでなく、ワクチンやがん検診などの予