小説家、クリエーターとしてマルチに活躍する、いとうせいこうさんと政治学者の中島岳志さんとの対談。前編では、東日本大震災を経たことで顕著になった「日本の課題」について語り合いました。続いて後編では、日本人が失ってしまったヒューマニズムの問題や、その解決策について語り合いました。 前編:「死者の軽視」が日本の政治をおかしくした 保守とリベラルの親和性 中島 岳志(以下、中島):私は、1月に亡くなった西部邁さんを筆頭に、何人かの影響を受けて保守の論理を考えてきました。私なりに保守の論理を追求していくと、実はリベラルという概念に接続していくんです。おもしろいことに、私の本も、自称保守派の人たちより、リベラルや左派の人たちのほうが読んでくれている。 この点でも、いとうさんと共通点を感じています。いとうさんは、日本の古典芸能の中にある庶民的な叡智を抽出することがリベラルという概念に接続すると考えていら
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