ある日、若者たちがSNSに投稿した「バナナを食べる動画」。ありふれた1シーンにしか見えませんが、この投稿をきっかけに、若者は国を追われる瀬戸際に。 でも、なぜ? 背景には、一皮むくだけでは分からない事情がありました。 (イスタンブール支局長 佐野圭崇) 発端となったのは2021年10月、トルコのネットテレビ局が行った街頭インタビュー。マイクを持つリポーターが尋ねたのはトルコの大統領選挙についてでした。 そのとき、あるトルコ人の女性が、別の人のインタビューに割って入り、トルコで暮らす難民について持論を展開。シリア人もアフガニスタン人も母国に帰るべきだ、全員をトルコに受け入れる余裕はない、と訴えたのです。 この発言に、となりにいた男性も同調します。 「シリア人は俺たちより楽に暮らしている。俺はバナナも食えない。お前たちはキロ単位でバナナを買っているじゃないか」 その場に居合わせたシリア人の女性