喉(のど)に引っ掛かってのみ込めない違和感とともに、自分の生死に向き合うことになる。それが友の死だ。感情は死を拒絶し理性は受け入れる。この悲痛な葛藤から逃げることはできない。 人の一生は一冊の本のようだ。いま「高橋幸宏」という本を読み終え、多くのファンがあとがきを書こうとしている。物語は終わったが本は消えず、ずっとそこにある。 幸宏の死は世界に反響を及ぼした。彼が海外のミュージシャンに与えた影響の大きさを今更ながら知り、高橋幸宏が実は大スターであることが判明した。 初めて幸宏と出会った時の彼は16歳、ぼくは21歳だった。それから半世紀の付き合いになる。軽井沢で知りあい、軽井沢でお別れしたのは不思議な縁だと思う。 高橋幸宏にとって自分はどんな存在だったのか。多分それは縁戚の「変な伯父さん」だろう。彼の厳しい審美眼はぼくをずっと観察していたに違いない。ある時期から少しずつ認めてくれたようだ。そ