日本には、数百種類の色の表現がある。いにしえの人々は多くの色に囲まれ、風景の彩りにひとつひとつ名をつけていたのだ。今回は、日本語の色の表現の中でも特に珍しい名前のものをご紹介します。
プロローグ:その旅は、一つの“香り”から始まった その香りに出会ったのは20代前半。今では想像できないくらいでっかい携帯電話をみんなが使っていた時代のことだ。 インターネットが普及する前のことだから、今のように海外のプロダクトを気軽に買うなんてことはできないし、そもそも情報がない。当時、雑誌モデルとして活動していた僕にとって、唯一、海の向こうから新しいモノや情報を届けてくれるのが、海外を飛び回っているヘアメイクさんやスタイリストさんたちだった。 あるとき、お土産にいただいた〈nahrin〉というブランドのハーブオイルに衝撃を受けた。清々しさの中にほのかな甘さのある香りは、森の中で深呼吸しているような気持ちにさせてくれ、心も体もスッキリと軽くなった。 聞けばそれは、スイスの小さな村にある修道院で暮らすシスターたちが300年以上前に作ったレシピをベースにして作られたものだという。村の図書館に眠
世界を聴いた男、小泉文夫 『世界を聴いた男』──これは、世界のあらゆる地域、あらゆる人々の間で綿々と受け継がれてきた「音」を求めて、取り憑かれたように世界中を駆け巡り、その収集/研究/紹介にすべてを賭した男の生涯を綴った評伝のタイトルである。 「民族音楽の巨人」、故・小泉文夫が日本の音楽界に残した膨大な業績は、その死後20年近くが経とうとする現在においても、まさに空前絶後と呼ぶほかない。彼の残した資料や音源の多くは現在、かつて教鞭をとった東京藝術大学音楽学部の「小泉文夫記念資料室」に収蔵されている。 今回、その資料室を十数年ぶりに訪れたミュージシャンの早川大地さんは、まさに「YMOから小泉さんに入った世代」。小泉と同じく東京大学の文学部で美学芸術学を学んだという早川さんは中学生の頃、図書館で小泉の編集したCDを手にし、初めて民族音楽の世界に触れたという。 「最初に聴いたのがギリシャのキプロ
聴くことの意味を考えると、耳が受動的な器官であるということを押さえた上で、本でも、映画でも、言えることなんだけど……、新しい体験をしたり、新しい風景を見たり、新しい考えに触れたりするのって、好きじゃない、人間って。自分じゃない誰かの考えとか、体験とか、感覚とかを疑似体験するために本を読んだり、映画を見たりする。それと似た様なことなのかな……、もしかしたら同じと言ってもいいのかも。 ただやっぱり器官として、感覚器としてやはり視覚で認識できるようなものとは違うから、共有しているものは多いんだけど、実は音楽でしか与えられない感情とか、風景の感覚とか、時間の感覚とか、というのもあるんだと思う。それは映像とか、言葉に置き換えることができなくて、なかなか難しいんだけど、音楽でしか得られないものは確実にある。僕の経験から言うと、例えば、中学2年生の時にドビュッシーと出会って、ハマっちゃった。ドビュッシー
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