ボブ・マーリーの表紙はロッキング・オンとしては初で、レゲエのアーティストがロッキング・オンの表紙になること自体が初めてとなる。 僕としてはかなりの決意と期待を持って臨んだ巻頭特集で、編集作業を始める前から「ついにこの時が来た」という並々ならぬ感慨と高揚感が心の中にあった。もちろん伝記映画『ボブ・マーリーONE LOVE』の公開を受けてということもあるが、個人的にはロッキング・オンの巻頭特集にボブ・マーリーを取り上げることはそれこそ編集部に入った20代の頃からの念願だった。 ただ、編集作業に入って感じたことは、僕が作ろうとしていたボブ・マーリー特集と、編集部スタッフやライター諸氏が実際に手を動かして作り出されてくる記事の主旨が少なからず違っている、ということだった。 人物像や史実が主に語られ、彼が世界へ広げたレゲエミュージックへの考察が淡白であるように感じたのだ。そもそも今回の映画への一般の