◆『国体論 菊と星条旗』 白井聡(しらい・さとし)さん (集英社新書・1015円) 自己目的化した対米従属 ヒット作『永続敗戦論』の議論をさらに展開して、戦前と戦後の並行性の対比から日本の「国体」を論じた。戦前の国体とは、天皇制を指す。「これに対して、戦後の国体とは、米国へ従属する構造のことです」 憲法9条と日米安保、沖縄の犠牲の「三位一体」を戦後の「国体」と捉える見方は、従来ある。9条が軽武装による経済成長や「平和国家」像を支え、軍事的には米国の核の傘があった。矛盾は、米軍統治や今も続く基地問題として沖縄に押しつけられてきた、というもの。 この戦後国体論の9条に天皇、安保に米国を代入したのが、本書の議論だと言える。「昭和天皇は、マッカーサーの考えに従い、米国を、社会主義の脅威から『国体』=天皇制を守る『征夷大将軍』とした。確かに天皇制は残ったが、国体は、米国が日本の上に君臨する構造に変更