古くから、日本人の感受性の基底(おくそこ)には、「をかし」と「あはれ」がある。まず、間違いのないことと思います。枕草子と源氏物語。ほかにも、奥ゆかしいとか、懐かし(心惹かれる)とか、慕う(恋愛感情とはちょっと位相の異なるところで)とか、実に味わい深い形容詞が、やまとことばには、ある。そしてそれが現代の、「をかし」方面ではたとえばキティちゃん、ミッフィーちゃん、LEGO、たまごっち、あるいは「やばい」なんていう形容詞に(よくもわるくも)引き継がれている。「あはれ」は、「全米が泣いた」とか、「草生える」とか。 * ではその、「をかし」「あはれ」は何だろうかというと、これがよくわからない。いや、もちろん俺なりの答えはある。でも高校のときの古文の授業を思い出してほしい。古文の先生はこんなふうに板書したはずだ。 をかし:趣き深い。なるほどためになる。 あはれ:しみじみとした趣きがある。 疑問に思わな