執筆者:Sanjay G. Revankar, MD, Wayne State University School of Medicine ムコール症とは,Rhizopus属,Rhizomucor属,Mucor属などのケカビ(Mucorales)目に属する多様な真菌種により引き起こされる感染症を指す。症状は,最も高頻度に,鼻および口蓋の侵襲性壊死性病変から生じ,疼痛,発熱,眼窩蜂窩織炎,眼球突出,膿性鼻汁を生じる。その後に中枢神経系症状を示すこともある。肺症状は重度で,湿性咳嗽,高熱,および呼吸困難などである。重度の易感染性患者では,播種性感染が起こる可能性がある。診断は主として臨床的に行うが,この病態を強く疑うことが必要であり,病理組織学的検査と培養により確定される。治療はアムホテリシンBの静注と壊死組織除去のため手術による。積極的な治療を行っても,死亡率が高い。 (真菌感染症の概要も参