温泉ブームで都市近郊の入浴施設がにぎわう中、温泉通や地元住民などに親しまれてきた秘湯の一軒宿などが、今年相次いで閉館した。施設の老朽化や後継者難などが理由で、温泉愛好家らからは惜しむ声が上がっている。 今年閉館したのは、いずれも100年以上の歴史を誇る「馬追温泉旅館」(北海道長沼町)や、蟠渓(ばんけい)温泉の「伊藤旅館ひかり温泉」(壮瞥町)、ニセコ昆布温泉郷の「鯉川(こいかわ)温泉」(蘭越町)など、少なくとも5軒に上る。 馬追温泉は1908年創業の一軒宿。10月31日に4代110年続いた歴史に幕を閉じた。開湯以来、約800メートル離れた岩の間から湧き出す冷泉(単純硫黄泉)を旅館まで引き、沸かして提供していた。春にはエゾヤマザクラが咲き誇り、札幌から車で約1時間という近さもあって多くの温泉ファンに愛されてきた。 9月の北海道地震で特に被害はなかったが、60年代に建てられた建物や施設が老朽化し
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