<科学の森> 公募の裏で候補者選定 「何か目玉はないか」。昨秋、茂木敏充・経済再生担当相の周辺から内閣府幹部にこんな打診があった。安倍晋三首相が昨秋の衆院選の公約に掲げた「生産性革命」。そこに盛り込む事業を探していたのだ。「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の前倒しという手があります」。この幹部は腹案を伝えた。 SIPは、政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI、議長・安倍首相)が2014年に始めた大型研究開発プロジェクトだ。自動運転技術などCSTIが重要だと判断して選定した11課題に、14~18年度に総額1580億円を投資。各課題の責任者である「プログラムディレクター(PD)」の下で基礎研究から実用化までをにらんだ開発を進め、「経済再生の原動力であるイノベーションを起こす」(内閣府)のが狙いだ…