グーグル撤退はボディブローのように中国にダメージを与え、日本や欧米との新たな摩擦を生むかもしれない。 言論の自由とか、検索市場のシェアがどうとかいったことではない。情報規制が中国の研究開発を停滞させ、そのために中国の産業競争力が鈍り、やむなく中国政府が過激な経済ナショナリズムに走る――というシナリオだ。 今年2月にイギリスの科学誌ネイチャーが中国の研究者784人を対象に行った調査によると、回答者の48%が、グーグルにアクセスできなくなったらリサーチ活動に「重大な」支障をきたすと答えたという。「グーグルなしでリサーチを行うのは、電気なしで生活するようなもの」だと、南京農業大学の環境学者はコメントしている。 中国政府は検索サイトの検閲や規制だけでなく、YouTubeやツイッターのアクセス規制も行っているとされる。内外の情報格差が広がれば、研究開発や起業の担い手として期待されている「海亀(留学帰