バットをポットに持ちかえて、元甲子園球児が始めた自家焙煎珈琲 喫茶店のマスターは、意外な経歴を持つ人が少なくない。「アキラ」の水江さんは、高校時代に甲子園出場、社会人野球でも活躍した元球児だ。「会社で座ってるだけのシーズンオフがしんどくて(笑)」と18年前から店に立ち続ける。 創業は昭和40年。親族の経営する雀荘「平和荘」のお客向け喫茶室として始まった。かつては店内の大きな水槽が名物で、熱帯魚の数を当てると賞金を出していたこともある。その頃はバーテン3人がフル回転する忙しさ。「トレー3段重ねまでしたわ」と開店当時から働くおばさんが振り返る当時は、劇場に商店に曲芸のような出前もひっきりなしだった。 今やすっかり珈琲好きの水江さんは、3年前から独学で自家焙煎を始めた。「常連さんが珈琲を残していくと、味がイマイチの時。焙煎は奥が深いわ」と、他の店にも研究に出向くほど熱心。相棒のような小型の焙煎機