目覚めると、彼女が泣いていた。 私の携帯電話を握ったまま、身体を震わせていた。 「...見たのか」 目を真っ赤にした彼女が答える。 「...うん。...見た」 私は全てを悟り、目の前が暗くなっていくのを感じた。 「...ごめん」 気まずい沈黙の後、彼女は言った。 「...私、何も知らなかったんだね」 彼女は何も知らなかった。 幸せだったのだ。 私がその幸せを壊した。 浅はかな浮気によって。 このとき、私は誓った。 もう二度と、バレるような浮気はするまいと。 あれから10余年の月日が経ち、私たちは大人になった。 たくさんの女性と恋愛し、そのうち何人かと付き合った。 年をとっても一切成長しないことに定評がある私は、付き合ってきた彼女たちから男の名誉とも言える数々の称号を授かった。 疑惑のデパート 浮気の百貨店 浮気の総合商社 浮気界の神 栄えある称号だと思う。 ある商社はラーメンからミサイルま